前回は「経営戦略論−PPM」でSBUの市場成長率と市場占有率の関係からの戦略の捉え方に焦点を当てました。 今回は経営戦略論の第4弾として「差別化戦略」を取り上げます。
今までの戦略論では「事業ポジションがどこに位置づけられているか」がその論陣の起点でした。差別化戦略では企業の行動に焦点を当てた競争優位戦略です。
企業が競争優位のために競合企業と差別化できる行動を「業務の卓越性」「緊密な顧客関係」「製品の優位性」に3つの要因に分類し、この要因の差別化ができれば競争優位に立つことができるとしました。
■「業務の卓越性」とは、業務プロセスの卓越性のことで、その成果は品質、価格、納期に反映されることになります。
すなわち、高品質、低価格、短納期を成し遂げる業務プロセスが構築している企業は競争優位に立てることになります。
たとえば、デルコンピュータはインターネットによる24時間365日の受注体制と受注後4日以内に顧客へ納品できるサプライチェーンとしての業務プロセスを確立しました。 また、文房具のアスクルも同様なしくみで翌日顧客納品を可能にしています。
トヨタは「カンバン生産方式」によって、コスト低減と不良率の最小化を図っています。世界トップの自動車メーカーであるGMですらこの「カンバン生産方式」をベストプラクティスとして必死に導入しようとしています。
このように「業務の卓越性」を有する企業は競争優位の事業展開を図っているわけです。
■「緊密な顧客関係」とは、ビジネス上における顧客との関係の良好性を言います。
みなさんも何かを購入するとき、「一元のセールスマンよりは馴染みのセールスマンを」、「商品押し付けのセールスマンより、気持ちを理解してくれるセールスマンを」選ぶはずです。企業間のビジネスにも同様なことが当てはまります。
リッツカールトンホテルはリピート顧客率がもっとも高いホテルといわれています。
相手の気持ちを理解したおもてなしが好評を博しているようです。
このホテルの経営哲学である「われわれは紳士・淑女をおもてなしする紳士・淑女である」のそのまま実践が徹底されているのでしょう。
ホテルというサービス業でもあることから「緊密な顧客関係」を気付く戦略を最優先としているわけです。
■「製品の優位性」とは、製品やサービス機能(システム構築、保守サービス等)の競争優位性です。この分野で競争優位を保っている日本企業は数多くあります。
2例挙げてみましょう。
「痛くない注射針」で有名な岡野工業(株)は現在、世界で唯一の製品です。この企業に依頼するしかありませんから、圧倒的な製品の優位性を持って競争優位に立つことができます。
また、オンリーワン戦略で有名なシャープは液晶、電子ディバイス等を中心に新製品の開発スピードを上げることで競争優位を勝ち取る「製品の優位性」戦略を採っています。
第15回はここで終了します。差別化戦略では競争優位を築くための企業行動の戦略の捉え方を述べてきました。経営に関する基礎知識はこの辺にして、次回からは経営戦略策定のための手法を取り上げていきます。第16回では「経営戦略策定メソドロジーの体系」としてメソドロジー全体を鳥瞰します。
今までの戦略論では「事業ポジションがどこに位置づけられているか」がその論陣の起点でした。差別化戦略では企業の行動に焦点を当てた競争優位戦略です。
企業が競争優位のために競合企業と差別化できる行動を「業務の卓越性」「緊密な顧客関係」「製品の優位性」に3つの要因に分類し、この要因の差別化ができれば競争優位に立つことができるとしました。
■「業務の卓越性」とは、業務プロセスの卓越性のことで、その成果は品質、価格、納期に反映されることになります。
すなわち、高品質、低価格、短納期を成し遂げる業務プロセスが構築している企業は競争優位に立てることになります。
たとえば、デルコンピュータはインターネットによる24時間365日の受注体制と受注後4日以内に顧客へ納品できるサプライチェーンとしての業務プロセスを確立しました。 また、文房具のアスクルも同様なしくみで翌日顧客納品を可能にしています。
トヨタは「カンバン生産方式」によって、コスト低減と不良率の最小化を図っています。世界トップの自動車メーカーであるGMですらこの「カンバン生産方式」をベストプラクティスとして必死に導入しようとしています。
このように「業務の卓越性」を有する企業は競争優位の事業展開を図っているわけです。
■「緊密な顧客関係」とは、ビジネス上における顧客との関係の良好性を言います。
みなさんも何かを購入するとき、「一元のセールスマンよりは馴染みのセールスマンを」、「商品押し付けのセールスマンより、気持ちを理解してくれるセールスマンを」選ぶはずです。企業間のビジネスにも同様なことが当てはまります。
リッツカールトンホテルはリピート顧客率がもっとも高いホテルといわれています。
相手の気持ちを理解したおもてなしが好評を博しているようです。
このホテルの経営哲学である「われわれは紳士・淑女をおもてなしする紳士・淑女である」のそのまま実践が徹底されているのでしょう。
ホテルというサービス業でもあることから「緊密な顧客関係」を気付く戦略を最優先としているわけです。
■「製品の優位性」とは、製品やサービス機能(システム構築、保守サービス等)の競争優位性です。この分野で競争優位を保っている日本企業は数多くあります。
2例挙げてみましょう。
「痛くない注射針」で有名な岡野工業(株)は現在、世界で唯一の製品です。この企業に依頼するしかありませんから、圧倒的な製品の優位性を持って競争優位に立つことができます。
また、オンリーワン戦略で有名なシャープは液晶、電子ディバイス等を中心に新製品の開発スピードを上げることで競争優位を勝ち取る「製品の優位性」戦略を採っています。
第15回はここで終了します。差別化戦略では競争優位を築くための企業行動の戦略の捉え方を述べてきました。経営に関する基礎知識はこの辺にして、次回からは経営戦略策定のための手法を取り上げていきます。第16回では「経営戦略策定メソドロジーの体系」としてメソドロジー全体を鳥瞰します。
前回は「経営戦略論−ランチェスターの戦略2」でマーケットシェアとその戦略に焦点を当てました。 今回は経営戦略論の第3弾として市場における事業ポジショニングにもとづく戦略であるボストンコンサルティンググループ(=BCG)が提唱したPPM(Product Portfolio Management)を取り上げます。
ランチェスター戦略でマーケットシェア(=市場占有率)が戦略に与える影響を見てきました。PPMでは企業の商品や事業(=同種商品群の集まり)の市場占有率と市場の成長率から市場位置を4つの象限に整理し、成長のための戦略を導き出す商品や事業のポジション決めました。
この企業の商品や事業は企業の存亡をかける戦略商品であることからSBU(=Strategic Business Unit)、戦略事業単位と名づけています。
4つの象限とは
*「市場占有率が高く」且つ「市場成長率の高い」象限
*「市場占有率が高く」且つ「市場成長率の低い」象限
*「市場占有率が低く」且つ「市場成長率の高い」象限
*「市場占有率が低く」且つ「市場成長率の低い」象限
のことです。
ポジションとは“自社のSBUが4象限のどこの象限に存在するか“の位置をいいます。
その4象限のポジションにあるSBUに対し「花形商品」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の名称をつけました。
(1)「花形商品」とは
市場の占有率が高く、市場成長率の高い位置づけにあるSBUです。たとえば、液晶TV、ディジカメ、カメラ付き携帯等を有するメーカーのSBUはこの位置づけです。商品のライフサイクルでいうと、成長期の段階にある商品です。
市場が成長していますので、新規参入する競合企業は多くなり、他社との差別化をするための研究開発やコスト低減努力が必要になります。企業目標としては、絶えず成長商品であるための努力により競合他社をより引き離し、安定的な収益の上がるSBUに作り上げていくことになります。
(2)「金のなる木」とは
市場の占有率が高く、市場成長率が低い位置づけにあるSBUです。たとえば、白物家電といわれる冷蔵庫、洗濯機、炊飯器や必需品となった時計等、今や生活を営むのに必須な商品であることから、ある程度の需要は見込めますが、急成長は期待できないSBUはこの位置づけです。商品のライフサイクルでいうと、成長期を過ぎて安定期の段階にある商品です。技術的にも完成しており、市場の成長は安定していますので、改めて投資・新規参入する企業は少なくなります。しかし、余分な新製品開発の投資は小さいSBUであり、シェアは高いことから、安定的な収益が確保できるSBUです。
ただ、油断をしていますと、つぎの問題児や負け犬のSBUになってしまいます。
たとえば、電話機はコピーやFAX付きの電話機へと進化しています。従来の電話機は現在、市場にはありません。
(3)「問題児」とは
市場の占有率が低く、市場成長率が高い位置づけにあるSBUです。市場は高成長の状態であるにもかかわらず自社のSBUの占有率が低いのですから、当該企業にとって、このSBUは競合他社に出遅れたSBUです。市場が要求しているのですから、早急に投入市場を見極め、開発投資を実施すべきSBUであるといえます。
(4)「負け犬」とは
市場の占有率が低く、市場成長率が低い位置づけにあるSBUです。市場が低成長で占有率が低いのですから、当該企業にとって、このSBUは撤退すべきSBUです。
金のなる木」や「問題児」の位置にあるSBUも投資のタイミングを間違えるとこの「負け犬」のSBUになってしまいます。
市場のニーズ、すなわち市場の成長率お見極め、市場の占有率を高めることが経営戦略として重要なことになることが理解できます。
第14回はここで終了します。PPMでは市場成長率と市場占有率の関係からの戦略の捉え方を述べてきました。そこで、次回は経営戦略論の第4回目として、SBUの成長を促す市場ニーズ要因である「差別化戦略」を取り上げます。
ランチェスター戦略でマーケットシェア(=市場占有率)が戦略に与える影響を見てきました。PPMでは企業の商品や事業(=同種商品群の集まり)の市場占有率と市場の成長率から市場位置を4つの象限に整理し、成長のための戦略を導き出す商品や事業のポジション決めました。
この企業の商品や事業は企業の存亡をかける戦略商品であることからSBU(=Strategic Business Unit)、戦略事業単位と名づけています。
4つの象限とは
*「市場占有率が高く」且つ「市場成長率の高い」象限
*「市場占有率が高く」且つ「市場成長率の低い」象限
*「市場占有率が低く」且つ「市場成長率の高い」象限
*「市場占有率が低く」且つ「市場成長率の低い」象限
のことです。
ポジションとは“自社のSBUが4象限のどこの象限に存在するか“の位置をいいます。
その4象限のポジションにあるSBUに対し「花形商品」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の名称をつけました。
(1)「花形商品」とは
市場の占有率が高く、市場成長率の高い位置づけにあるSBUです。たとえば、液晶TV、ディジカメ、カメラ付き携帯等を有するメーカーのSBUはこの位置づけです。商品のライフサイクルでいうと、成長期の段階にある商品です。
市場が成長していますので、新規参入する競合企業は多くなり、他社との差別化をするための研究開発やコスト低減努力が必要になります。企業目標としては、絶えず成長商品であるための努力により競合他社をより引き離し、安定的な収益の上がるSBUに作り上げていくことになります。
(2)「金のなる木」とは
市場の占有率が高く、市場成長率が低い位置づけにあるSBUです。たとえば、白物家電といわれる冷蔵庫、洗濯機、炊飯器や必需品となった時計等、今や生活を営むのに必須な商品であることから、ある程度の需要は見込めますが、急成長は期待できないSBUはこの位置づけです。商品のライフサイクルでいうと、成長期を過ぎて安定期の段階にある商品です。技術的にも完成しており、市場の成長は安定していますので、改めて投資・新規参入する企業は少なくなります。しかし、余分な新製品開発の投資は小さいSBUであり、シェアは高いことから、安定的な収益が確保できるSBUです。
ただ、油断をしていますと、つぎの問題児や負け犬のSBUになってしまいます。
たとえば、電話機はコピーやFAX付きの電話機へと進化しています。従来の電話機は現在、市場にはありません。
(3)「問題児」とは
市場の占有率が低く、市場成長率が高い位置づけにあるSBUです。市場は高成長の状態であるにもかかわらず自社のSBUの占有率が低いのですから、当該企業にとって、このSBUは競合他社に出遅れたSBUです。市場が要求しているのですから、早急に投入市場を見極め、開発投資を実施すべきSBUであるといえます。
(4)「負け犬」とは
市場の占有率が低く、市場成長率が低い位置づけにあるSBUです。市場が低成長で占有率が低いのですから、当該企業にとって、このSBUは撤退すべきSBUです。
金のなる木」や「問題児」の位置にあるSBUも投資のタイミングを間違えるとこの「負け犬」のSBUになってしまいます。
市場のニーズ、すなわち市場の成長率お見極め、市場の占有率を高めることが経営戦略として重要なことになることが理解できます。
第14回はここで終了します。PPMでは市場成長率と市場占有率の関係からの戦略の捉え方を述べてきました。そこで、次回は経営戦略論の第4回目として、SBUの成長を促す市場ニーズ要因である「差別化戦略」を取り上げます。
前回は「経営戦略論−ランチェスターの戦略1」でマーケットシェアと市場地位の観点に焦点を当てました。 今回は市場の占有率すなわちマーケットシェアを向上するための方策としてのランチェスター戦略を取り上げます。
この戦略論の基盤は“マーケットシェアを上げることで利益率が向上する”というものでした。
マーケットシェアを上げるためには何を為すべきなのでしょうか?
例として、ある町の住宅地に競合のA社のスーパーがあり、B社がスーパーの出店を企画する場合を採り上げて見ましょう。
通常、スーパーの商圏(集客できる範囲)はスーパーを中心として半径300mといわれています。ランチェスター戦略によれば、この商圏を吸収してしまうには、“300m先にこのスーパーを囲むようにB社のスーパーを設置すること”といいます。
取り囲むようにとはA社の1店舗をB社の3店舗で取り囲むように設置することです。
そうしますと、B社のスーパーが増えますので、顧客の目につきやすくなり、また、同種の商品、価格であれば数の多い利便性のあるB社のスーパーがなじみ易くなってきます。 そのうちに、A社のスーパーの商圏はB社の商圏に置き換わってしまいます。
すなわちB社のシェアが増大することになります。
ちなみに、セブンイレブンが1995年、ローソンの牙城であった大阪へ進出した時、“ドミナント戦略”と称してこの戦略を活用しました。大阪地区に既存店舗として800店舗あったローソンのコンビニ対し、出店地域を決め、集中的にランチェスターで言う商圏囲い込みの戦略を採り、商圏を増やしていきました。350店舗まで展開して始めて収益を確保できるようになったと聞いています。
(1)この戦略をランチェスターでは「集中効果の法則」といいます。
この法則は、兵力の差で相手を圧倒することです。兵力の差は2乗の差といわれます。1対2の戦いは1対4の力の差に匹敵するということです。
(2)ランチェスター 戦略にはもうひとつ「一騎討ちの法則」があります。
この法則は“戦闘力は戦術と武器性能比の差”であるといいます。戦闘では兵力の差があっても相手が鉄砲主力の部隊であれば機関銃や大砲を持つ部隊のほうが先頭を優位に進めることができるということです。
ビジネス環境に置き換えますと、多くの営業要員を使って販売することに対して、ちらし広告や宣伝によってブランド力を上げ少ない営業要員で販売を浸透させていく方法です。 「集中効果の法則」による戦略は数を頼みとした経営資源の量による戦略ですので「強者の戦略」といわれます。一方、「一騎討ちの法則」は戦術、すなわち知恵を使った戦略ですので「弱者の戦略」といわれます。
それでは、強者、弱者の戦略を見ていきましょう。
(1)「強者の戦略」:この戦略はマーケットシェアを拡大するために優位にある経営 資源の総合力を使います。メディアを使った宣伝や販売代理店を設置してのチャネル活用した確立戦、間接的戦略および経営資源を集中化して短期決戦といった戦略を採ります。
(2)「弱者の戦略」:この戦略は経営資源が豊富にありませんので知恵を使ってシェアを拡大する戦略を採ります。
たとえば、近所の元気の良い中堅スーパーや商店を思い出してください。見易いチラシ広告、新鮮な生鮮品、少ないけど何でも揃う品揃え、女性や子供の普段着に絞った衣服店、画一的でなく丁寧な説明で対応の良い営業員等に数多く気付きませんか?
弱者の戦略はマスメディアの宣伝や間接販売ではなく、顧客に直接会って訴えていく局地戦、接近戦、一点集中の戦略です。
弱者、強者ともに強点と弱点を持っています。適切な戦略を展開すれば、シェアを拡大することは可能ということです。
第13回はここで終了します。ランチェスターの経営戦略論を2回に亘って述べてきました。次回は経営戦略論の第3回目として、ボストンコンサルティンググループが提案した「PPM(Product Portfolio Management)」を取り上げます。
この戦略論の基盤は“マーケットシェアを上げることで利益率が向上する”というものでした。
マーケットシェアを上げるためには何を為すべきなのでしょうか?
例として、ある町の住宅地に競合のA社のスーパーがあり、B社がスーパーの出店を企画する場合を採り上げて見ましょう。
通常、スーパーの商圏(集客できる範囲)はスーパーを中心として半径300mといわれています。ランチェスター戦略によれば、この商圏を吸収してしまうには、“300m先にこのスーパーを囲むようにB社のスーパーを設置すること”といいます。
取り囲むようにとはA社の1店舗をB社の3店舗で取り囲むように設置することです。
そうしますと、B社のスーパーが増えますので、顧客の目につきやすくなり、また、同種の商品、価格であれば数の多い利便性のあるB社のスーパーがなじみ易くなってきます。 そのうちに、A社のスーパーの商圏はB社の商圏に置き換わってしまいます。
すなわちB社のシェアが増大することになります。
ちなみに、セブンイレブンが1995年、ローソンの牙城であった大阪へ進出した時、“ドミナント戦略”と称してこの戦略を活用しました。大阪地区に既存店舗として800店舗あったローソンのコンビニ対し、出店地域を決め、集中的にランチェスターで言う商圏囲い込みの戦略を採り、商圏を増やしていきました。350店舗まで展開して始めて収益を確保できるようになったと聞いています。
(1)この戦略をランチェスターでは「集中効果の法則」といいます。
この法則は、兵力の差で相手を圧倒することです。兵力の差は2乗の差といわれます。1対2の戦いは1対4の力の差に匹敵するということです。
(2)ランチェスター 戦略にはもうひとつ「一騎討ちの法則」があります。
この法則は“戦闘力は戦術と武器性能比の差”であるといいます。戦闘では兵力の差があっても相手が鉄砲主力の部隊であれば機関銃や大砲を持つ部隊のほうが先頭を優位に進めることができるということです。
ビジネス環境に置き換えますと、多くの営業要員を使って販売することに対して、ちらし広告や宣伝によってブランド力を上げ少ない営業要員で販売を浸透させていく方法です。 「集中効果の法則」による戦略は数を頼みとした経営資源の量による戦略ですので「強者の戦略」といわれます。一方、「一騎討ちの法則」は戦術、すなわち知恵を使った戦略ですので「弱者の戦略」といわれます。
それでは、強者、弱者の戦略を見ていきましょう。
(1)「強者の戦略」:この戦略はマーケットシェアを拡大するために優位にある経営 資源の総合力を使います。メディアを使った宣伝や販売代理店を設置してのチャネル活用した確立戦、間接的戦略および経営資源を集中化して短期決戦といった戦略を採ります。
(2)「弱者の戦略」:この戦略は経営資源が豊富にありませんので知恵を使ってシェアを拡大する戦略を採ります。
たとえば、近所の元気の良い中堅スーパーや商店を思い出してください。見易いチラシ広告、新鮮な生鮮品、少ないけど何でも揃う品揃え、女性や子供の普段着に絞った衣服店、画一的でなく丁寧な説明で対応の良い営業員等に数多く気付きませんか?
弱者の戦略はマスメディアの宣伝や間接販売ではなく、顧客に直接会って訴えていく局地戦、接近戦、一点集中の戦略です。
弱者、強者ともに強点と弱点を持っています。適切な戦略を展開すれば、シェアを拡大することは可能ということです。
第13回はここで終了します。ランチェスターの経営戦略論を2回に亘って述べてきました。次回は経営戦略論の第3回目として、ボストンコンサルティンググループが提案した「PPM(Product Portfolio Management)」を取り上げます。
前回は「経営戦略論−コトラーの戦略」で、経営観のための「経営判断の基礎知識」のひとつをご紹介しました。 そこで今回は経営観のための「経営判断の基礎知識」の第2段としてランチェスターの経営戦略論を取り上げます。
ランチェスター戦略はランチェスター協会の田岡信夫氏(故人)によりマーケティング戦略として開発されました。もともとは、イギリスの技術者F.W.ランチェスターが第2次世界大戦時の空中戦研究から生まれたものです。田岡氏はこの研究をマーケティングに転用して理論化しました。理論の基本は「マーケットシェア(市場占有率」です。
ランチェスター戦略では“マーケットシェアはマーケットシェアが10%上がると利益率が5%アップする“と言います。
その背景は、マーケットシェアが上がると市場の認知度(またはブランド力)が上がりますので、販売努力がより少ない力で売上向上が見込めます。したがって、販売経費が少なくて済むようになります。
また、生産工程においても多く生産するようになると、習熟度が上がりますし、材料の購入ロットもまとめが可能になり、労務費、材料費の低減が図れて、製造コストが減少することになります。売上が上がって、コストが低減しますので利益が上がり、利益率も向上することになります。
すなわち、マーケットシェアを高めれば企業の収益は向上することになりますが、“100%までマーケットシェアを高めなければならないのか”という疑問が残ります。
ランチェスター戦略ではその疑問を実態分析からそのシェアに目標値を設定し、マーケットシェアと市場地位の関係を整理しました。
この戦略ではマーケットシェアの地位をマーケットシェア目標値から3段階、「上限目標」「相対的安定」「下限目標」で設定しています。
(1)上限目標値:マーケット市場の73.88%を占有する状態で、「独占状態」といわれます。 独占とは市場から商品や価格を選択できにくい状態を言います。したがって、独占状態の企業は良さそうに見えますが、この目標値以上の独占状態は逆に市場の反発を招くことも想定されます。マーケットシェアにも占有すべき上限があると言っているわけです。マーケットシェアもある程度の競合状態を残すことが必要です。
(2)相対的安定:マーケット市場の41.7%を占有する状態です。マーケットシェア1位のための当面の目標となります。2位以下の企業が連合すれば、シェア1位を獲得し1位の企業と逆転できる状態です。自動車業界における2002年の国内販売台数シェアはトヨタ42.2%、日産18.5%、ホンダ15.2%、その他24.1%(2003/7/26東洋経済)です。トヨタの位置づけがこの状態にあります。
(3)下限目標:マーケット市場の26.12%を占有する状態です。シェア1位を目指す初期目標となります。シェアトップほどではないが、ブランドはかなり浸透しシェア拡大の礎ができた状態です。シェア争いは決定していません。コピー業界におけるキャノン、リコー、富士ゼロックスが各社30%から20%の状態で各社ともにこの状態にあります。
第12回はここで終了します。ランチェスターの経営戦略論の第1回ではマーケットシェアと市場地位の観点に焦点を当てました。 次の第13回では市場の占有率すなわちマーケットシェアを向上するための方策「経営戦略論―ランチェスターの戦略2」を取り上げます。
ランチェスター戦略はランチェスター協会の田岡信夫氏(故人)によりマーケティング戦略として開発されました。もともとは、イギリスの技術者F.W.ランチェスターが第2次世界大戦時の空中戦研究から生まれたものです。田岡氏はこの研究をマーケティングに転用して理論化しました。理論の基本は「マーケットシェア(市場占有率」です。
ランチェスター戦略では“マーケットシェアはマーケットシェアが10%上がると利益率が5%アップする“と言います。
その背景は、マーケットシェアが上がると市場の認知度(またはブランド力)が上がりますので、販売努力がより少ない力で売上向上が見込めます。したがって、販売経費が少なくて済むようになります。
また、生産工程においても多く生産するようになると、習熟度が上がりますし、材料の購入ロットもまとめが可能になり、労務費、材料費の低減が図れて、製造コストが減少することになります。売上が上がって、コストが低減しますので利益が上がり、利益率も向上することになります。
すなわち、マーケットシェアを高めれば企業の収益は向上することになりますが、“100%までマーケットシェアを高めなければならないのか”という疑問が残ります。
ランチェスター戦略ではその疑問を実態分析からそのシェアに目標値を設定し、マーケットシェアと市場地位の関係を整理しました。
この戦略ではマーケットシェアの地位をマーケットシェア目標値から3段階、「上限目標」「相対的安定」「下限目標」で設定しています。
(1)上限目標値:マーケット市場の73.88%を占有する状態で、「独占状態」といわれます。 独占とは市場から商品や価格を選択できにくい状態を言います。したがって、独占状態の企業は良さそうに見えますが、この目標値以上の独占状態は逆に市場の反発を招くことも想定されます。マーケットシェアにも占有すべき上限があると言っているわけです。マーケットシェアもある程度の競合状態を残すことが必要です。
(2)相対的安定:マーケット市場の41.7%を占有する状態です。マーケットシェア1位のための当面の目標となります。2位以下の企業が連合すれば、シェア1位を獲得し1位の企業と逆転できる状態です。自動車業界における2002年の国内販売台数シェアはトヨタ42.2%、日産18.5%、ホンダ15.2%、その他24.1%(2003/7/26東洋経済)です。トヨタの位置づけがこの状態にあります。
(3)下限目標:マーケット市場の26.12%を占有する状態です。シェア1位を目指す初期目標となります。シェアトップほどではないが、ブランドはかなり浸透しシェア拡大の礎ができた状態です。シェア争いは決定していません。コピー業界におけるキャノン、リコー、富士ゼロックスが各社30%から20%の状態で各社ともにこの状態にあります。
第12回はここで終了します。ランチェスターの経営戦略論の第1回ではマーケットシェアと市場地位の観点に焦点を当てました。 次の第13回では市場の占有率すなわちマーケットシェアを向上するための方策「経営戦略論―ランチェスターの戦略2」を取り上げます。


