前回までの2回はキャッシュフロー分析で 資金繰りに関して述べてきました。キャッシュの重要性はお分かりになったと思います。
ここではキャッシュフローのもうひとつのテーマを取り上げようと思います。
キャッシュはより多く、より早く回収することができると流動比率が高まりますので企業はより健全な経営が出来ることになります。このキャッシュの回収に焦点を当てた投資効果測定法がDCF法なのです。
今回は、キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)を取り上げます。
キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法を取り上げます。
DCF法は現在価値法と言われ、設備投資の投資効果判定のために現在最も多く使用されている算定法です。
この算定法の考え方は将来の投資効果を現在の価値に換算して投資対効果を算定することから、この呼称があります。
それでは現在価値の考え方を例を引いて話を進めようと思います。
(1)現在価値
A企業で5億円の固定資産への投資をし、3年後に10億円の現金回収を見込んだ事業戦略を考えました。この企業は現在、売上高利益率10%の事業を営んでいるとします。
「この効果10億円の現在価値はいくらが妥当でしょうか?」が問題です。
この企業は売上高利益率が10%ですから、現在の事業で元手の資金を年間10%ずつ増大させる事業力があると判定します。
としますと、現在5億円を投資すると1年後5.5億円に出来るわけですから、1年後の5.5億円の現在価値は5億円と捉えられます。
数式で表しますと、5.5億円/(1+0.1)=5億円となります。同様に、n年後の投資効果は(1+0.1)nとして算定できることになります。
問題に戻って、3年後の現金10億円の現在価値は10億円/(1+0.1)3≒7.5億円 となります。
それでは、DCF法を用いて、投資効果を算定してみましょう。
(2)投資効果の算定
課題を下記で想定しましょう。
・n期の期初に100億円の設備投資をしました。
・減価償却費は定額法で3年償却。すなわち、3年目まで毎年30億円の減価償却費が発生します。
・税引き後利益の予測はn期、n+1期、n+2期、それぞれ−18億円、13億円、37億円です。
・現在の売上高利益率は10%です。
「現在のn期からの3年間の投資効果を算定してください」が課題です。
◆キャッシュフローの計算
まず、現金の収支であるキャッシュフローを計算します。この計算は税引き後利益に減価償却費を加えることで計算します。なぜなら、税引き後利益はキャッシュの支出のない減価償却費を差し引いて計算されています。利益の計算はそれで良いのですが、キャッシュの収支としては減価償却費は現金の支出はされていないのですから差し引いてはいけません。
そうしますと、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローは減価償却費の30億円を加算して12億円、43億円、67億円となります。
◆投資効果の現在価値の算出
現在価値は売上高利益率が10%ですので、(1+0.1)nで除して求められますので、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローの現在価値はそれぞれ(1+0.1),(1+0.1)2,(1+0.1)3で除して11億円、36 億円、50億円となります。
◆投資対効果を算出
初期投資が100億円ですから、n期からの3年間の投資対効果は投資対効果=−100億円+11億円+36億円+50億円=−3億円となります。
すなわち、この投資は−3億円のキャッシュ持ち出しの事業と判定できます。
DCF法は現在の投資金額を現在のキャッシュ価値に変換して効果を判定しますから、早期にキャッシュの回収の出来る投資案が有利になることご理解いただけると思います。
第36回はここで終了します。今回で経営戦略に関するテーマは完了とします。
次回からは、情報戦略のテーマに移ります。最初のテーマは企業戦略の観点から「情報戦略とは」を取り上げます。
ここではキャッシュフローのもうひとつのテーマを取り上げようと思います。
キャッシュはより多く、より早く回収することができると流動比率が高まりますので企業はより健全な経営が出来ることになります。このキャッシュの回収に焦点を当てた投資効果測定法がDCF法なのです。
今回は、キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)を取り上げます。
キャッシュフロー分析での固定資産投資に対する投資効果の算定であるDCF法を取り上げます。
DCF法は現在価値法と言われ、設備投資の投資効果判定のために現在最も多く使用されている算定法です。
この算定法の考え方は将来の投資効果を現在の価値に換算して投資対効果を算定することから、この呼称があります。
それでは現在価値の考え方を例を引いて話を進めようと思います。
(1)現在価値
A企業で5億円の固定資産への投資をし、3年後に10億円の現金回収を見込んだ事業戦略を考えました。この企業は現在、売上高利益率10%の事業を営んでいるとします。
「この効果10億円の現在価値はいくらが妥当でしょうか?」が問題です。
この企業は売上高利益率が10%ですから、現在の事業で元手の資金を年間10%ずつ増大させる事業力があると判定します。
としますと、現在5億円を投資すると1年後5.5億円に出来るわけですから、1年後の5.5億円の現在価値は5億円と捉えられます。
数式で表しますと、5.5億円/(1+0.1)=5億円となります。同様に、n年後の投資効果は(1+0.1)nとして算定できることになります。
問題に戻って、3年後の現金10億円の現在価値は10億円/(1+0.1)3≒7.5億円 となります。
それでは、DCF法を用いて、投資効果を算定してみましょう。
(2)投資効果の算定
課題を下記で想定しましょう。
・n期の期初に100億円の設備投資をしました。
・減価償却費は定額法で3年償却。すなわち、3年目まで毎年30億円の減価償却費が発生します。
・税引き後利益の予測はn期、n+1期、n+2期、それぞれ−18億円、13億円、37億円です。
・現在の売上高利益率は10%です。
「現在のn期からの3年間の投資効果を算定してください」が課題です。
◆キャッシュフローの計算
まず、現金の収支であるキャッシュフローを計算します。この計算は税引き後利益に減価償却費を加えることで計算します。なぜなら、税引き後利益はキャッシュの支出のない減価償却費を差し引いて計算されています。利益の計算はそれで良いのですが、キャッシュの収支としては減価償却費は現金の支出はされていないのですから差し引いてはいけません。
そうしますと、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローは減価償却費の30億円を加算して12億円、43億円、67億円となります。
◆投資効果の現在価値の算出
現在価値は売上高利益率が10%ですので、(1+0.1)nで除して求められますので、n期、n+1期、n+2期の期末キャッシュフローの現在価値はそれぞれ(1+0.1),(1+0.1)2,(1+0.1)3で除して11億円、36 億円、50億円となります。
◆投資対効果を算出
初期投資が100億円ですから、n期からの3年間の投資対効果は投資対効果=−100億円+11億円+36億円+50億円=−3億円となります。
すなわち、この投資は−3億円のキャッシュ持ち出しの事業と判定できます。
DCF法は現在の投資金額を現在のキャッシュ価値に変換して効果を判定しますから、早期にキャッシュの回収の出来る投資案が有利になることご理解いただけると思います。
第36回はここで終了します。今回で経営戦略に関するテーマは完了とします。
次回からは、情報戦略のテーマに移ります。最初のテーマは企業戦略の観点から「情報戦略とは」を取り上げます。
前回はキャッシュフロー分析での短期資金計画を取り上げました。
今回は、キャッシュフロー分析でのもう一方の資金計画である中期資金計画を取り上げます。
中期の資金計画はB/S(Balance Sheet:貸借対照表)を用いて年度別の正味運転資金の資金繰りの計画です。そのために、まずB/Sの見方を整理しておこうと思います。
(1)P/LとB/Lの関係
企業の営業活動の成果は期末に作成されるP/L(Profit&Loss:損益計算書)によって、売上、経費、利益として把握されます。このP/L二反映される活動は売上を上げ、利益を上げていく活動であり、最終的に企業の財産(キャッシュに換算できる持ち物)を増やす活動と言えます。この財産が増えた状態は期末にP/Lの利益分としてB/Sの資産という財産の増加として表示されることになります。
(2)B/Sは財産状態を表す
貸借対象表には3つの財産状態が表されています。
企業が所有しているものの中で現金や預金で代表される“お金”、商品や固定資産で代表される“もの”、売掛金や受取手形などの“債権(お金回収の権利)”といった「資産」、商品の仕入や銀行からの借入金など相手にお金を支払う義務(債務)がある「負債」、株券発行による資本金や利益に代表される利益剰余金で構成される自分のお金である「資本」があります。
(3)正味運転資金とは
中期資金計画ではこの財産状態を用いて正味運転資金を捉えます。
正味運転資金とは自由に営業活動に使用できる余裕資金であり、正味運転資金=流動資産−流動負債 で表します。
ここでいう「流動資産」とは商品の販売や現金回収の権利を行使することにより“1年以内に現金化できる資産”をいいます。たとえば、現金、預金、売掛金、商品などの資産がこれに該当します。
一方、「流動負債」は商品の仕入れや支払い義務を実施することで“1年以内に支払
いが発生する負債”を言います。たとえば、買掛金、借入金などの負債がそれに当たります。
正味運転資金はこれらの資産と負債の差ですから、その差がプラスになるとすると、1年の現金収支ではそのプラス分だけ資金余裕が出たことを表していることになります。
すなわち、正味運転資金が増大するということは経営活動における資金繰りを豊かにして行くことですから、“不渡り”という倒産要因も減少することになります。
中期の資金計画は中期目標に対する営業活動の成果であるP/Lから予定される各年度のB/Sを作成し、正味運転資金がプラスになるように計画することで、計画が出来上がります。
この正味運転資金の余裕度を見るのに「流動比率」を使用します。
流動比率は流動比率=(流動資産/流動負債)*100で表され、流動負債に対する流動資産の倍率を見ています。
一般に、流動比率は120%以上が望ましく、すなわち20%回収が減少しても資金の辻褄の合う状態であり、健全な企業活動を営むのに必要な資金的な余裕度といわれています。
資金繰りに関して述べてきました。キャッシュの重要性はお分かりになったと思います。
今回はキャッシュフロー分析での中期資金計画を取り上げました。
次回は、キャッシュフロー分析での投資対効果の算定法の1つであるDCF法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)を「キャッシュフロー分析−3」で取り上げます。
今回は、キャッシュフロー分析でのもう一方の資金計画である中期資金計画を取り上げます。
中期の資金計画はB/S(Balance Sheet:貸借対照表)を用いて年度別の正味運転資金の資金繰りの計画です。そのために、まずB/Sの見方を整理しておこうと思います。
(1)P/LとB/Lの関係
企業の営業活動の成果は期末に作成されるP/L(Profit&Loss:損益計算書)によって、売上、経費、利益として把握されます。このP/L二反映される活動は売上を上げ、利益を上げていく活動であり、最終的に企業の財産(キャッシュに換算できる持ち物)を増やす活動と言えます。この財産が増えた状態は期末にP/Lの利益分としてB/Sの資産という財産の増加として表示されることになります。
(2)B/Sは財産状態を表す
貸借対象表には3つの財産状態が表されています。
企業が所有しているものの中で現金や預金で代表される“お金”、商品や固定資産で代表される“もの”、売掛金や受取手形などの“債権(お金回収の権利)”といった「資産」、商品の仕入や銀行からの借入金など相手にお金を支払う義務(債務)がある「負債」、株券発行による資本金や利益に代表される利益剰余金で構成される自分のお金である「資本」があります。
(3)正味運転資金とは
中期資金計画ではこの財産状態を用いて正味運転資金を捉えます。
正味運転資金とは自由に営業活動に使用できる余裕資金であり、正味運転資金=流動資産−流動負債 で表します。
ここでいう「流動資産」とは商品の販売や現金回収の権利を行使することにより“1年以内に現金化できる資産”をいいます。たとえば、現金、預金、売掛金、商品などの資産がこれに該当します。
一方、「流動負債」は商品の仕入れや支払い義務を実施することで“1年以内に支払
いが発生する負債”を言います。たとえば、買掛金、借入金などの負債がそれに当たります。
正味運転資金はこれらの資産と負債の差ですから、その差がプラスになるとすると、1年の現金収支ではそのプラス分だけ資金余裕が出たことを表していることになります。
すなわち、正味運転資金が増大するということは経営活動における資金繰りを豊かにして行くことですから、“不渡り”という倒産要因も減少することになります。
中期の資金計画は中期目標に対する営業活動の成果であるP/Lから予定される各年度のB/Sを作成し、正味運転資金がプラスになるように計画することで、計画が出来上がります。
この正味運転資金の余裕度を見るのに「流動比率」を使用します。
流動比率は流動比率=(流動資産/流動負債)*100で表され、流動負債に対する流動資産の倍率を見ています。
一般に、流動比率は120%以上が望ましく、すなわち20%回収が減少しても資金の辻褄の合う状態であり、健全な企業活動を営むのに必要な資金的な余裕度といわれています。
資金繰りに関して述べてきました。キャッシュの重要性はお分かりになったと思います。
今回はキャッシュフロー分析での中期資金計画を取り上げました。
次回は、キャッシュフロー分析での投資対効果の算定法の1つであるDCF法(Discount Cash Flow:ディスカウントキャッシュフロー)を「キャッシュフロー分析−3」で取り上げます。
前回は投資分析の中の収益分析であるメソドロジー「損益分岐点分析」を取り上げました。今回は、もうひとつの投資分析メソドロジーである「キャッシュフロー分析」を取り上げます。
“勘定合って銭足らず”という「ことわざ」をご存知でしょうか? このことわざはキャッシュフローの重要性をあらわしています。
勘定とはP/L(Profit&Loss:損益計算書)でいう売上や利益のことで、銭とはキャッシュ(現金)のことをあらわしています。
高度成長期に黒字を計上している企業の倒産が相次いだとき、キャッシュフローマネジメントのまずさにより黒字倒産する企業を表すことわざとして使用されました。
(1)資金繰りの重要性
商取引において、支払手形の支払い時に当座預金に預金残がなく支払えなくなると「不渡り」と言う状態になり、企業は倒産せざるを得なくなります。
お金が支払えない企業には債権者が押しかけて、あらゆる資産を借金の片に差し押さえてしまうから営業活動が出来なくなるからです。
したがって、企業経営においては商取引や投資に必要な現金を常に確保していくことが求められることが必要となります。
そのためには入金/出金の額と時期およびその残高(=有高)を常に管理する資金繰り計画が必要となってきます。これを資金繰り計画といいます。
資金繰り計画には次期1年の月度別の資金繰りを計画する「短期資金計画」と中期事業目標に対して年度別の資金収支を捉える「中期資金計画」があります。
短期資金計画のメソドロジーには「3部制資金繰り法」があり、中期資金計画には「正味運転資金による資金繰り法」があります。
まず、短期資金計画のメソドロジーである「3部制資金繰り法」を取り上げましょう。
(2)3部制資金繰り法による短期資金計画
この手法の考え方はキャッシュの運用の性質により3つに区分し、資金繰りを整理することからこの呼び名があります。その3区分とは「経常収支」、「設備投資等の収支」そして「財務関係の収支」の区分です。
◆「経常収支」
この区分は企業の営業活動により発生する収益や費用の現金収支をまとめます。
収入には売上によって発生する売掛金回収、受取手形入金などがありますし、
支出には仕入れの支払い代金としての買掛金支払や給料等の販売費支払などがあります。
これらの収支をその時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して経常収支の資金繰り表を作成します。
◆「設備投資等の収支」
この区分は建物、機会、備品などの固定資産の購入や売却による現金の収支をまとめます。
支出は投資による固定資産の購入に対して支出される現金が対象です。
収入は不要になった固定資産の売却による現金収入が対象です。
経常収支区分と同様に現金収支の時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して設備投資等の資金繰り表を作成します。
経常収支と設備投資等の収支区分での資金は企業活動を遂行する上において通常に必要になる現金の収支です。すなわち、不渡りにならないために、この現金過不足を調整する現金(資金)の調達活動は必須事項となります。
この現金の調達するための現金収支の資金繰りが「財務関係の収支」の資金繰り表です。
◆「財務関係の収支」
この区分は借入金や貸付金などによる現金の収支をまとめます。
収入は銀行からの借入金や関係会社へ貸していた貸付金返却などによる現金の入金が対象です。支出は借入金返却や貸付金などによる現金の出金が対象です。
この収支は経常収支と設備投資等の収支における現金の過不足を補填や調整するために作成される資金繰り表となります。
以上の3区分の月度別の資金繰り表を作成することで短期資金計画表が完成します。
第35回はここで終了します。今回はキャッシュフロー分析での短期資金計画を取り上げました。
次回は、キャッシュフロー分析での中期資金計画を「キャッシュフロー分析−2」で取り上げます。
“勘定合って銭足らず”という「ことわざ」をご存知でしょうか? このことわざはキャッシュフローの重要性をあらわしています。
勘定とはP/L(Profit&Loss:損益計算書)でいう売上や利益のことで、銭とはキャッシュ(現金)のことをあらわしています。
高度成長期に黒字を計上している企業の倒産が相次いだとき、キャッシュフローマネジメントのまずさにより黒字倒産する企業を表すことわざとして使用されました。
(1)資金繰りの重要性
商取引において、支払手形の支払い時に当座預金に預金残がなく支払えなくなると「不渡り」と言う状態になり、企業は倒産せざるを得なくなります。
お金が支払えない企業には債権者が押しかけて、あらゆる資産を借金の片に差し押さえてしまうから営業活動が出来なくなるからです。
したがって、企業経営においては商取引や投資に必要な現金を常に確保していくことが求められることが必要となります。
そのためには入金/出金の額と時期およびその残高(=有高)を常に管理する資金繰り計画が必要となってきます。これを資金繰り計画といいます。
資金繰り計画には次期1年の月度別の資金繰りを計画する「短期資金計画」と中期事業目標に対して年度別の資金収支を捉える「中期資金計画」があります。
短期資金計画のメソドロジーには「3部制資金繰り法」があり、中期資金計画には「正味運転資金による資金繰り法」があります。
まず、短期資金計画のメソドロジーである「3部制資金繰り法」を取り上げましょう。
(2)3部制資金繰り法による短期資金計画
この手法の考え方はキャッシュの運用の性質により3つに区分し、資金繰りを整理することからこの呼び名があります。その3区分とは「経常収支」、「設備投資等の収支」そして「財務関係の収支」の区分です。
◆「経常収支」
この区分は企業の営業活動により発生する収益や費用の現金収支をまとめます。
収入には売上によって発生する売掛金回収、受取手形入金などがありますし、
支出には仕入れの支払い代金としての買掛金支払や給料等の販売費支払などがあります。
これらの収支をその時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して経常収支の資金繰り表を作成します。
◆「設備投資等の収支」
この区分は建物、機会、備品などの固定資産の購入や売却による現金の収支をまとめます。
支出は投資による固定資産の購入に対して支出される現金が対象です。
収入は不要になった固定資産の売却による現金収入が対象です。
経常収支区分と同様に現金収支の時点で月度別に集計し、月度別の現金収支の過不足を表して設備投資等の資金繰り表を作成します。
経常収支と設備投資等の収支区分での資金は企業活動を遂行する上において通常に必要になる現金の収支です。すなわち、不渡りにならないために、この現金過不足を調整する現金(資金)の調達活動は必須事項となります。
この現金の調達するための現金収支の資金繰りが「財務関係の収支」の資金繰り表です。
◆「財務関係の収支」
この区分は借入金や貸付金などによる現金の収支をまとめます。
収入は銀行からの借入金や関係会社へ貸していた貸付金返却などによる現金の入金が対象です。支出は借入金返却や貸付金などによる現金の出金が対象です。
この収支は経常収支と設備投資等の収支における現金の過不足を補填や調整するために作成される資金繰り表となります。
以上の3区分の月度別の資金繰り表を作成することで短期資金計画表が完成します。
第35回はここで終了します。今回はキャッシュフロー分析での短期資金計画を取り上げました。
次回は、キャッシュフロー分析での中期資金計画を「キャッシュフロー分析−2」で取り上げます。
前回はメソドロジー「損益分岐点分析」の基礎知識として固定費と変動費を取り上げました。
今回は、この知識をもとに、損益分岐点分析を実施してみましょう。
損益分岐点分析では、固定費と変動費そして売上高の関係を2次元の図表として分析します。それではこの固定費と変動費を使って、収支分析をする損益分岐点分析図を描いてみましょう。
(1)損益分岐点分析図表を描く
◆軸線を描く
図表は横軸に売上高をとり、縦軸に売上高・費用を取ります。それぞれのスケールは左から右に行けば横軸は大きく、縦軸は下から上に行けば大きくなる2軸を設定します。
◆固定費線を描く
現在の固定費額を計算し、この額に相当する縦軸の目盛から横軸と並行に固定費線を引きます。固定費は売上の増減と関係なく、一定の費用が発生する金額ですので横軸に並行な線で記述されることになります。
数学の得意な方はy=aで表しますとaが固定費額を表します。(縦軸:y、横軸:xとする)
◆変動費線を描く
変動費は売上高の増減に比例して発生する費用でした。縦軸の固定費額の目盛を起点として、固定費線に上乗せして比例する変動費線を引きます。
数式で表せば、y=bx+aです。aは固定費額、bは売上高に対する変動費額の比率(=変動費率)です。変動費はbxで表されます。
この変動費線は固定費線に上乗せして書いてますので、固定費と変動費が加算された合計の線ともなりますので、総費用線と言われます。売上を上げる企業活動に必要な全ての費用を表しています。
◆売上高基線を描く
売上高基線は売上高の線です。縦軸、横軸ともに売上高が軸線ですので45度の斜線が売上高基線になります。
数式で表せば、y=xの線です。
以上で図表が完成しましたので、損益分岐点分析をしましょう。
(2)損益分岐点分析を行う
◆損益分岐点を捉える
総費用線と売上高基線の交点を損益分岐点、BEP(=Break Even Point)と言います。将に損益の分岐点を表す交点でBEPの売上高は総費用と一致する売上高ですので、このBEPの売上高を超えると利益が生じ、BEP売上高以下であると損失が発生する利益ゼロの売上高です。
この図で利益(=P)を求めようとすれば、売上高基線から総費用線を差し引けばよいわけですから、売上高線y=xと総費用線y=bx+aからP=(1−b)x−aで表されます。
このときの売上高を算出するには、売上高をあらわすxの式に置き換えてx=(P+a)/(1−b)となります。
◆目標利益売上高を算出する
例として、現在、売上高:100億円、変動費(=売上原価):50億円、固定費(=販売費):45億、利益:5億円の事業を採り上げましょう。
変動比率(=b)は変動比率=(50億円/100億円)=0.5です。
ここからが課題です。
課題:「投資として人を採用し、かつ設備を購入しました。固定費(=a)としての人件費と減価償却費が10億円UPになりました。利益は今までどおり5億円確保したい。このときの確保すべき売上高はいくらですか?」
解答は目標売上高であるx=(P+a)/(1−b)=(利益+固定費)/(1−変動比率)=(5+55)/(1−0.5)=120億円
となります。
以上、みてきましたように、損益分岐点分析は経営投資によって生じる現状に対する固定費と変動費の増分を捉えることが出来れば、経営上重要な利益目標に対する売上高や損益分岐点売上高を容易に算出すことが出来ることになります。
この理由から、投資の収支分析にもっとも活用されるメソドロジーとなっているわけです。
第33回はここで終了します。今回は損益分岐点分析で、投資による固定費変動時の目標売上高の分析を行いました。
次回は、投資分析において、もう一つの柱である「キャッシュフロー分析」を取り上げます。
今回は、この知識をもとに、損益分岐点分析を実施してみましょう。
損益分岐点分析では、固定費と変動費そして売上高の関係を2次元の図表として分析します。それではこの固定費と変動費を使って、収支分析をする損益分岐点分析図を描いてみましょう。
(1)損益分岐点分析図表を描く
◆軸線を描く
図表は横軸に売上高をとり、縦軸に売上高・費用を取ります。それぞれのスケールは左から右に行けば横軸は大きく、縦軸は下から上に行けば大きくなる2軸を設定します。
◆固定費線を描く
現在の固定費額を計算し、この額に相当する縦軸の目盛から横軸と並行に固定費線を引きます。固定費は売上の増減と関係なく、一定の費用が発生する金額ですので横軸に並行な線で記述されることになります。
数学の得意な方はy=aで表しますとaが固定費額を表します。(縦軸:y、横軸:xとする)
◆変動費線を描く
変動費は売上高の増減に比例して発生する費用でした。縦軸の固定費額の目盛を起点として、固定費線に上乗せして比例する変動費線を引きます。
数式で表せば、y=bx+aです。aは固定費額、bは売上高に対する変動費額の比率(=変動費率)です。変動費はbxで表されます。
この変動費線は固定費線に上乗せして書いてますので、固定費と変動費が加算された合計の線ともなりますので、総費用線と言われます。売上を上げる企業活動に必要な全ての費用を表しています。
◆売上高基線を描く
売上高基線は売上高の線です。縦軸、横軸ともに売上高が軸線ですので45度の斜線が売上高基線になります。
数式で表せば、y=xの線です。
以上で図表が完成しましたので、損益分岐点分析をしましょう。
(2)損益分岐点分析を行う
◆損益分岐点を捉える
総費用線と売上高基線の交点を損益分岐点、BEP(=Break Even Point)と言います。将に損益の分岐点を表す交点でBEPの売上高は総費用と一致する売上高ですので、このBEPの売上高を超えると利益が生じ、BEP売上高以下であると損失が発生する利益ゼロの売上高です。
この図で利益(=P)を求めようとすれば、売上高基線から総費用線を差し引けばよいわけですから、売上高線y=xと総費用線y=bx+aからP=(1−b)x−aで表されます。
このときの売上高を算出するには、売上高をあらわすxの式に置き換えてx=(P+a)/(1−b)となります。
◆目標利益売上高を算出する
例として、現在、売上高:100億円、変動費(=売上原価):50億円、固定費(=販売費):45億、利益:5億円の事業を採り上げましょう。
変動比率(=b)は変動比率=(50億円/100億円)=0.5です。
ここからが課題です。
課題:「投資として人を採用し、かつ設備を購入しました。固定費(=a)としての人件費と減価償却費が10億円UPになりました。利益は今までどおり5億円確保したい。このときの確保すべき売上高はいくらですか?」
解答は目標売上高であるx=(P+a)/(1−b)=(利益+固定費)/(1−変動比率)=(5+55)/(1−0.5)=120億円
となります。
以上、みてきましたように、損益分岐点分析は経営投資によって生じる現状に対する固定費と変動費の増分を捉えることが出来れば、経営上重要な利益目標に対する売上高や損益分岐点売上高を容易に算出すことが出来ることになります。
この理由から、投資の収支分析にもっとも活用されるメソドロジーとなっているわけです。
第33回はここで終了します。今回は損益分岐点分析で、投資による固定費変動時の目標売上高の分析を行いました。
次回は、投資分析において、もう一つの柱である「キャッシュフロー分析」を取り上げます。


