前回、“コスト差異”と“スケジュールコスト差異”を取り上げました。この差異
からこの差異のままで遂行した場合の予想コストと予想納期を算出してみましょう。
前回の例から、3月末時点でのPV(予算累積)、AC(実績コスト累積)、EV(完了
作業対応の予算消化累計)はそれぞれ28.67万円、29万円、22.67万円
で、コスト差異(=EV−AC)は6.33万円、スケジュールコスト差異(=EV−
PV)は6万円でした。
まず、予想コストの算出からです。EVMSではEAC(=Estimated
At Completion:予想コスト)といいます。
(1)EACの算出
この計算のポイントは今までの実績を見ていきます。3月末の時点でEV=22.67
万円、AC=29万円ですので、このままの状況で進めば、残りの作業もこのコスト
差異の比率で差異が増大することになります。PVの最終の予想コスト(BAC:Ba
dget At Completion:計画納期予算累計)は最終納期までの残作業
のコストもこの比率で増大することになります。この比率をEVMSではPF
(=Performance Factor)といい、この例では22.67/29
=0.78になりますし、この例でのBACは52.83でした。
EACの計算式は EAC=AC+(BAC−EV)/PFとなります。
本ケースの数値を当てはめますと、EAC=29.00+(52.83−22.6
7)/0.78=67.67となり、計画納期予算との差異は14.84万円
(=67.67−52.83)まで広がることになります。 次に、計画完了予想日
を算出してみましょう。
(2)計画完了予想日の算出
3月末でのスケジュールコスト差異は6万円でした。人月工数単価は1万円としまし
たので、6人月の工数分の計画遅れです。12人で実施していますと、半月の遅れと
いうことになります。
スケジュールコスト差異のPF(=Performance Factor)を出し
てみましょう。
3月末のEV=22.67万円、PV=28.67万円ですので、この比で納期遅れが
出ていますので、PF=22.67/28.67=0.79となり、“3月末で
28.67の工数分の作業が終了すべきところ、22.67工数の作業しか進まな
かった”ということをあらわしています。
今後の作業期間はPVでの4月末納期日までの1.5ヶ月(=4月30日―3月15日)
がこのPFの比で膨らむことになります。
計画完了予想日は
計画完了予想日=現時点+(PV計画納期日−EV完了時点)/PFとなりますので、
数値を挿入しますと、(ただし、1ヶ月を便宜上30日と想定)
計画完了予想日=3月末+(4月末−3月15日)/0.79 5月27日で
27日の納期遅れへと膨らむことになります。
この予算オーバーと納期遅れを見極めた上でコスト低減と納期短縮対策が講じること
になります。
第74回はここで終了します。“最終予算と納期の推定”を取り上げました。
この回までの74回に亘り、当講座でITコンサルタントに必要な基礎知識を取り
上げて参りました。基礎知識の講座はこれで終了したいと思います。
今後のこの講座ではこの基礎知識の応用した実際のテーマとして取り上げようと
思っています。
そのために、次回はこの応用のテーマ目次「ITコンサルタントのための応用知識
テーマ」を取り上げ、全体を把握していただこうと思っています。
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からこの差異のままで遂行した場合の予想コストと予想納期を算出してみましょう。
前回の例から、3月末時点でのPV(予算累積)、AC(実績コスト累積)、EV(完了
作業対応の予算消化累計)はそれぞれ28.67万円、29万円、22.67万円
で、コスト差異(=EV−AC)は6.33万円、スケジュールコスト差異(=EV−
PV)は6万円でした。
まず、予想コストの算出からです。EVMSではEAC(=Estimated
At Completion:予想コスト)といいます。
(1)EACの算出
この計算のポイントは今までの実績を見ていきます。3月末の時点でEV=22.67
万円、AC=29万円ですので、このままの状況で進めば、残りの作業もこのコスト
差異の比率で差異が増大することになります。PVの最終の予想コスト(BAC:Ba
dget At Completion:計画納期予算累計)は最終納期までの残作業
のコストもこの比率で増大することになります。この比率をEVMSではPF
(=Performance Factor)といい、この例では22.67/29
=0.78になりますし、この例でのBACは52.83でした。
EACの計算式は EAC=AC+(BAC−EV)/PFとなります。
本ケースの数値を当てはめますと、EAC=29.00+(52.83−22.6
7)/0.78=67.67となり、計画納期予算との差異は14.84万円
(=67.67−52.83)まで広がることになります。 次に、計画完了予想日
を算出してみましょう。
(2)計画完了予想日の算出
3月末でのスケジュールコスト差異は6万円でした。人月工数単価は1万円としまし
たので、6人月の工数分の計画遅れです。12人で実施していますと、半月の遅れと
いうことになります。
スケジュールコスト差異のPF(=Performance Factor)を出し
てみましょう。
3月末のEV=22.67万円、PV=28.67万円ですので、この比で納期遅れが
出ていますので、PF=22.67/28.67=0.79となり、“3月末で
28.67の工数分の作業が終了すべきところ、22.67工数の作業しか進まな
かった”ということをあらわしています。
今後の作業期間はPVでの4月末納期日までの1.5ヶ月(=4月30日―3月15日)
がこのPFの比で膨らむことになります。
計画完了予想日は
計画完了予想日=現時点+(PV計画納期日−EV完了時点)/PFとなりますので、
数値を挿入しますと、(ただし、1ヶ月を便宜上30日と想定)
計画完了予想日=3月末+(4月末−3月15日)/0.79 5月27日で
27日の納期遅れへと膨らむことになります。
この予算オーバーと納期遅れを見極めた上でコスト低減と納期短縮対策が講じること
になります。
第74回はここで終了します。“最終予算と納期の推定”を取り上げました。
この回までの74回に亘り、当講座でITコンサルタントに必要な基礎知識を取り
上げて参りました。基礎知識の講座はこれで終了したいと思います。
今後のこの講座ではこの基礎知識の応用した実際のテーマとして取り上げようと
思っています。
そのために、次回はこの応用のテーマ目次「ITコンサルタントのための応用知識
テーマ」を取り上げ、全体を把握していただこうと思っています。


前回はEVMSテーマの第1回で「EVMSとは」として、その意義と言葉の解釈を
取り上げました。今回は「EVMSの活用―その1」で“EVMS管理図の作り方”を取
り上げようと思います。
EVMS(Earned Value Management System)によるプロジェクトの進捗管理は
前回で述べました3種のベースラインデータを用いEVMS管理図を作成します。
EVMS管理図は横軸に時間軸、縦軸にコスト・予算軸を取ります。横軸の時間軸は
プロジェクトの開始月から月単位にプロジェクト終了月までスケールし、縦軸は計画
予算と実績コストを金額単位(たとえば、千円)に合わせてスケールします。
ベースラインデータのグラフ記述順序は計画時点での積み上げ予算であるPV
(Planned Value)を描き、進捗実績が出た時点で実績コスト累積とし
てのAC(Actual Cost)と実績に対応した予算の消化累積のEV(Ea
rned Value)を描きます。
(1)PVデータグラフの作成
このデータは皆さんがプロジェクト予算を作成する時の作業と同じです。プロジェク
トの月別の作業工数を見積り、その工数を予算に変えて、月ごとに納期月まで予算を
累計したグラフです。
例として、プロジェクト開始月が1月で、終了月を4月のプロジェクトがあり、その
計画作業が1月は“AとB作業”、2月は“C作業”、3月は“DとE作業”、4月
は“G、FとH作業”であり、その工数(単位:人月)をA=4.33、B=6.1
7、C=9.67、D=2.50、E=6.00、F=8.50、G=10.33、
H=5.33としましょう。簡単のために工数単価を1万円/人月としますと、PV
データは累計ですので、1月=10.50万円、2月=20.17万円、3月=
28.67万円、4月=52.83万円のグラフとなります。
(2)ACデータグラフの作成
このデータは月ごとの実績コストの累計です。現時点を3月末として、各月の実績コ
スト累計であるACが1月度12.5万円、2月度23万円、3月度29万円であっ
たとしましょう。
今までの予算管理ですと、3月末の予算と実績の差異は1.37万円(=29−
28.67)の予算オーバーとしました。
EVMSではEVデータグラフを加えることで、この考え方に意義を唱えました。
このデータは正確な予算差異に加え、納期差異も把握できるデータとなりました。
(3)EVデータグラフの作成
このデータは作業完了した作業予算消化の累計ですので、各作業の予算に焦点を当て
ます。
たとえば、計画では3月末の完了予定作業が作業A、B、C、D、Eでしたが、現在
の3月末の時点で作業のA、B、C、Dまでの完了であったとしましょう。
そうしますと、3月末のEVは22.67万円となります。
EVMSではコスト差異(=予算と実績の差異)はACとEVの差である6.33
万円(=29−22.67)になります。完了した作業予算と完了した作業実績を
対比していますのでより、正確なコスト差異となっています。
もう一つはスケジュールコスト差異(予定納期と実績の差異)です。この差異はPV
とEVの差異として6万円(=28.67−22.67)を把握し、この差異を工数
単価で除しますと遅れの工数または期間が把握できます。
以上のように、EVMSはEVデータを管理グラフに加えることで、コストと納期の
予実管理が可能にしました。
第73回はここで終了します。“EVMS管理図の作り方”を取り上げました。
次回は、この差異を下にプロジェクトの“最終予算と納期の推定”手法を「EVMSの
活用−その2」として取り上げます。
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取り上げました。今回は「EVMSの活用―その1」で“EVMS管理図の作り方”を取
り上げようと思います。
EVMS(Earned Value Management System)によるプロジェクトの進捗管理は
前回で述べました3種のベースラインデータを用いEVMS管理図を作成します。
EVMS管理図は横軸に時間軸、縦軸にコスト・予算軸を取ります。横軸の時間軸は
プロジェクトの開始月から月単位にプロジェクト終了月までスケールし、縦軸は計画
予算と実績コストを金額単位(たとえば、千円)に合わせてスケールします。
ベースラインデータのグラフ記述順序は計画時点での積み上げ予算であるPV
(Planned Value)を描き、進捗実績が出た時点で実績コスト累積とし
てのAC(Actual Cost)と実績に対応した予算の消化累積のEV(Ea
rned Value)を描きます。
(1)PVデータグラフの作成
このデータは皆さんがプロジェクト予算を作成する時の作業と同じです。プロジェク
トの月別の作業工数を見積り、その工数を予算に変えて、月ごとに納期月まで予算を
累計したグラフです。
例として、プロジェクト開始月が1月で、終了月を4月のプロジェクトがあり、その
計画作業が1月は“AとB作業”、2月は“C作業”、3月は“DとE作業”、4月
は“G、FとH作業”であり、その工数(単位:人月)をA=4.33、B=6.1
7、C=9.67、D=2.50、E=6.00、F=8.50、G=10.33、
H=5.33としましょう。簡単のために工数単価を1万円/人月としますと、PV
データは累計ですので、1月=10.50万円、2月=20.17万円、3月=
28.67万円、4月=52.83万円のグラフとなります。
(2)ACデータグラフの作成
このデータは月ごとの実績コストの累計です。現時点を3月末として、各月の実績コ
スト累計であるACが1月度12.5万円、2月度23万円、3月度29万円であっ
たとしましょう。
今までの予算管理ですと、3月末の予算と実績の差異は1.37万円(=29−
28.67)の予算オーバーとしました。
EVMSではEVデータグラフを加えることで、この考え方に意義を唱えました。
このデータは正確な予算差異に加え、納期差異も把握できるデータとなりました。
(3)EVデータグラフの作成
このデータは作業完了した作業予算消化の累計ですので、各作業の予算に焦点を当て
ます。
たとえば、計画では3月末の完了予定作業が作業A、B、C、D、Eでしたが、現在
の3月末の時点で作業のA、B、C、Dまでの完了であったとしましょう。
そうしますと、3月末のEVは22.67万円となります。
EVMSではコスト差異(=予算と実績の差異)はACとEVの差である6.33
万円(=29−22.67)になります。完了した作業予算と完了した作業実績を
対比していますのでより、正確なコスト差異となっています。
もう一つはスケジュールコスト差異(予定納期と実績の差異)です。この差異はPV
とEVの差異として6万円(=28.67−22.67)を把握し、この差異を工数
単価で除しますと遅れの工数または期間が把握できます。
以上のように、EVMSはEVデータを管理グラフに加えることで、コストと納期の
予実管理が可能にしました。
第73回はここで終了します。“EVMS管理図の作り方”を取り上げました。
次回は、この差異を下にプロジェクトの“最終予算と納期の推定”手法を「EVMSの
活用−その2」として取り上げます。


前回までの3回はPERT/CPMを取り上げました。今回からはプロジェクトマネ
ジメントで取り上げる最後の手法として「EVMS」を採り上げます。まず、最初は
「EVMSとは」として、その意義と言葉の解釈を行おうと思います。
EVMS(Earned Value Management System)は1996年米国国防総省が開発し、
PMBOKでの進捗管理手法と位置づけられており、欧米ではプロジェクト進捗管理のデフ
ァクトスタンダードとなっています。日本では経済産業省が2003年よりシステム 開発プロジェクト管理手法として採用を推奨しています。
この手法はプロジェクト予算に対する出来高を予定予算の消化累計と実績費用の累積
を把握することで、予算の予実管理と納期進捗の予実管理を行う手法です。
EVMSで使用する管理図は横軸に年月を入れた時間軸をとり、縦軸に予算・コスト軸を
とり、時間軸に沿って予算・コストの累積を記述して予実の対比をする管理図となっ
ています。
こう言いましても何のことか分りませんので、この手法で使用している3つのベース
ライン(基礎)データについて解説いたしましょう。
3種のベースラインデータとはPV(=Planned Value)、AC(=Actual Cos
t)とEV(=Earned Value)です。
(1)PV(=Planned Value)
このデータは月別の作業工数に沿ったプロジェクト予算を月度別に積み上げた予算で
す。
通常、プロジェクト予算は作業スケージュールに沿った工数を月別に予算に換算し、
月別に必要予算を算出し、プロジェクト予算はこれらの累計で算出されます。
PVでは前月度までの予算累計に今月度の予算を加えて積み上げ予算とします。
たとえば、1月度予算100万円、2月度予算150万円、3月度予算250万円としま
すと、PVは1月度100万円、2月度250万円、3月度500万円となります。
通常、皆さんがプロジェクト予算計画を行われるときの予算計画データです。
(2)AC(=Actual Cost )
このデータは月別の実績コストを月度別に積み上げた実績費用累計です。
プロジェクトの進捗の現時点が2月末としまし、その費用実績が1月度130万円、
2月度170万円としますと、ACは1月度130万円、2月度300万円となりま
す。通常、プロジェクトの予算管理で使用します実績費用です。
(3)EV(=Earned Value)
このデータこそがEVMSを特徴付けているデータで、予定予算の消化累計を表しま
す。
例から入った方が分かり良いでしょう。
プロジェクト予算の1月度、2月度がそれぞれ1月度はA作業(100万円)、2月
度はB作業予算(100万円)とC作業(30万円)で構成されていて、現在の2月
末時点で作業A、Bが完了しているとしましょう。
この2月末時点のEVは200万円と計算します。すなわち、EVは予算に対して、作業
完了した予算の累計を表すことになります。
さて、このEVが予算と納期の予実管理を可能とします。この解明は次回のテーマとし
ましょう。
第72回はここで終了します。「EVMSとは」を取り上げました。
次回は、EVMSの活用として「EVMS−2」を取り上げます。
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ジメントで取り上げる最後の手法として「EVMS」を採り上げます。まず、最初は
「EVMSとは」として、その意義と言葉の解釈を行おうと思います。
EVMS(Earned Value Management System)は1996年米国国防総省が開発し、
PMBOKでの進捗管理手法と位置づけられており、欧米ではプロジェクト進捗管理のデフ
ァクトスタンダードとなっています。日本では経済産業省が2003年よりシステム 開発プロジェクト管理手法として採用を推奨しています。
この手法はプロジェクト予算に対する出来高を予定予算の消化累計と実績費用の累積
を把握することで、予算の予実管理と納期進捗の予実管理を行う手法です。
EVMSで使用する管理図は横軸に年月を入れた時間軸をとり、縦軸に予算・コスト軸を
とり、時間軸に沿って予算・コストの累積を記述して予実の対比をする管理図となっ
ています。
こう言いましても何のことか分りませんので、この手法で使用している3つのベース
ライン(基礎)データについて解説いたしましょう。
3種のベースラインデータとはPV(=Planned Value)、AC(=Actual Cos
t)とEV(=Earned Value)です。
(1)PV(=Planned Value)
このデータは月別の作業工数に沿ったプロジェクト予算を月度別に積み上げた予算で
す。
通常、プロジェクト予算は作業スケージュールに沿った工数を月別に予算に換算し、
月別に必要予算を算出し、プロジェクト予算はこれらの累計で算出されます。
PVでは前月度までの予算累計に今月度の予算を加えて積み上げ予算とします。
たとえば、1月度予算100万円、2月度予算150万円、3月度予算250万円としま
すと、PVは1月度100万円、2月度250万円、3月度500万円となります。
通常、皆さんがプロジェクト予算計画を行われるときの予算計画データです。
(2)AC(=Actual Cost )
このデータは月別の実績コストを月度別に積み上げた実績費用累計です。
プロジェクトの進捗の現時点が2月末としまし、その費用実績が1月度130万円、
2月度170万円としますと、ACは1月度130万円、2月度300万円となりま
す。通常、プロジェクトの予算管理で使用します実績費用です。
(3)EV(=Earned Value)
このデータこそがEVMSを特徴付けているデータで、予定予算の消化累計を表しま
す。
例から入った方が分かり良いでしょう。
プロジェクト予算の1月度、2月度がそれぞれ1月度はA作業(100万円)、2月
度はB作業予算(100万円)とC作業(30万円)で構成されていて、現在の2月
末時点で作業A、Bが完了しているとしましょう。
この2月末時点のEVは200万円と計算します。すなわち、EVは予算に対して、作業
完了した予算の累計を表すことになります。
さて、このEVが予算と納期の予実管理を可能とします。この解明は次回のテーマとし
ましょう。
第72回はここで終了します。「EVMSとは」を取り上げました。
次回は、EVMSの活用として「EVMS−2」を取り上げます。


前回はPERT/CPMの記述ルールを解説しました。今回は、“クリティカル
パスの求め方と改善”を採り上げます。
前回のPERT/CPMの記述ルールで述べましたように、プロジェクトの作業は前工程の
作業の成果物を参照して、新たな成果物を作成するという作業に前後が出来てきま
す。その引継ぎの前作業の終了であり、次作業の開始である節目を“イベント”と
称しました。
さて、最もプロジェクト納期を最長にする作業経路であるクリティカルパスを求めて
みましょう。
例題は、前回の作業ネットワークを使用します。
(問題)アクティビティとして、A,B,C,D,E,F,G,Hの作業がありま
す。それぞれのアクティビティは計算を簡単にするために、全て1人で作業する
仮定しましょう。
・最初の作業はイベント1からA,Bが並行作業で始まります。
・D作業はA作業の成果物をもってイベント2から開始できます。
・C,H作業はB作業の成果物をもってイベント3から開始できます。
・作業E,FはC作業の完了をもってイベント4から開始できます。
・作業Gは作業DとEが完了して、初めてイベント5を開始できます。
・プロジェクトの完了であるイベント6は作業G、F、Hの成果物を持って完了 となります。
さらに、それぞれの作業の工数はA=4.33人日、B=6.17人日、
C=9.67人日、D=2.50人日、E=6.00人日、F=8.50人日、
G=10.33人日、H=5.33人日です。
“さて、納期までに何日掛かるでしょうか?”
(1)クリティカルパスを求める
納期日のイベント6までのイベント1からの経路と作業期間を全て挙げてみましょ
う。
a.イベント1→イベント2→イベント5→イベント6を経路とする作業A、D、
Gで、作業期間は17.16日
b.イベント1→イベント3→イベント4→イベント5→イベント6を経路とする
作業B、C、E、Gで、作業期間は32.17日
c.イベント1→イベント3→イベント4→イベント6を経路とする作業B、C、
Fで、作業期間は24.34日
d.イベント1→イベント3→イベント6を経路とする作業B、Hで、作業期間は
11.50日
以上の4通りになります。納期が最長になるのはbの32.17日の経路ですから、
このイベント1→イベント3→イベント4→イベント5→イベント6の経路が“クリ
ティカルパス”です。
納期を改善するにはこのクリティカルパスの作業を改善しないと納期は短縮できませ
ん。
さて、改善するにはクリティカルパスの作業にそうでない経路の作業工数を配分
し直して、クリティカルパスの作業の期間を短縮することです。その工数配分できる
余裕作業を見つけることが必要になります。
そのためには、イベント6納期期日から逆算してイベント毎に“最早完了日(TE:
Terminate Early) ”と“最遅着手日(TL:Terminate Last)”を計算することで
該当作業を見つけることが出来ます。
(2)“最早完了日”と“最遅着手日”を見つける
最早完了日とはイベント1から6まで納期日を積み上げたイベントの納期日です。
たとえば、イベント4はイベント1、3を経由する作業B(作業期間:6.17
日)と作業C(作業期間:9.67日)がありますので、最早完了日(=TE)は
15.84日となります。
最遅着手日(TL)を求めてみましょう。クリティカルパスでの最長納期32.17
日が基準になります。
イベント4を逆算してみましょう。bのクリティカルパスではイベント6の
32.17日から作業G(作業期間:10.33日)と作業E(作業期間
:6.00日)を差し引きますので、15.84日になります。
これを最遅着手日(=TL)といいます。クリティカルパスではTEとTLは同じ
になります。
Cの経路を同様に逆算しますと、TLは23.67日となります。クリティカル
パスのTL=15.84日と比較しますと7.83日の差が出ます。これをスラ
ック(=余裕)といいます。
Cの経路の作業Fは最も早く開始できるのは15.84日目に出来ますし、遅くても
23.67日目に開始すれば納期32.17に間に合うことを意味しています。
このことは、Fの作業工数をイベント4以前の作業に移行しますと、納期が短縮で
きることを意味しています。
第71回はここで終了します。“クリティカル パスの求め方と改善”を取り上げま
した。
次回は、プロジェクト予算計画、予算と納期管理を同時に実施する手法である「EV
MS」を取り上げます。
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パスの求め方と改善”を採り上げます。
前回のPERT/CPMの記述ルールで述べましたように、プロジェクトの作業は前工程の
作業の成果物を参照して、新たな成果物を作成するという作業に前後が出来てきま
す。その引継ぎの前作業の終了であり、次作業の開始である節目を“イベント”と
称しました。
さて、最もプロジェクト納期を最長にする作業経路であるクリティカルパスを求めて
みましょう。
例題は、前回の作業ネットワークを使用します。
(問題)アクティビティとして、A,B,C,D,E,F,G,Hの作業がありま
す。それぞれのアクティビティは計算を簡単にするために、全て1人で作業する
仮定しましょう。
・最初の作業はイベント1からA,Bが並行作業で始まります。
・D作業はA作業の成果物をもってイベント2から開始できます。
・C,H作業はB作業の成果物をもってイベント3から開始できます。
・作業E,FはC作業の完了をもってイベント4から開始できます。
・作業Gは作業DとEが完了して、初めてイベント5を開始できます。
・プロジェクトの完了であるイベント6は作業G、F、Hの成果物を持って完了 となります。
さらに、それぞれの作業の工数はA=4.33人日、B=6.17人日、
C=9.67人日、D=2.50人日、E=6.00人日、F=8.50人日、
G=10.33人日、H=5.33人日です。
“さて、納期までに何日掛かるでしょうか?”
(1)クリティカルパスを求める
納期日のイベント6までのイベント1からの経路と作業期間を全て挙げてみましょ
う。
a.イベント1→イベント2→イベント5→イベント6を経路とする作業A、D、
Gで、作業期間は17.16日
b.イベント1→イベント3→イベント4→イベント5→イベント6を経路とする
作業B、C、E、Gで、作業期間は32.17日
c.イベント1→イベント3→イベント4→イベント6を経路とする作業B、C、
Fで、作業期間は24.34日
d.イベント1→イベント3→イベント6を経路とする作業B、Hで、作業期間は
11.50日
以上の4通りになります。納期が最長になるのはbの32.17日の経路ですから、
このイベント1→イベント3→イベント4→イベント5→イベント6の経路が“クリ
ティカルパス”です。
納期を改善するにはこのクリティカルパスの作業を改善しないと納期は短縮できませ
ん。
さて、改善するにはクリティカルパスの作業にそうでない経路の作業工数を配分
し直して、クリティカルパスの作業の期間を短縮することです。その工数配分できる
余裕作業を見つけることが必要になります。
そのためには、イベント6納期期日から逆算してイベント毎に“最早完了日(TE:
Terminate Early) ”と“最遅着手日(TL:Terminate Last)”を計算することで
該当作業を見つけることが出来ます。
(2)“最早完了日”と“最遅着手日”を見つける
最早完了日とはイベント1から6まで納期日を積み上げたイベントの納期日です。
たとえば、イベント4はイベント1、3を経由する作業B(作業期間:6.17
日)と作業C(作業期間:9.67日)がありますので、最早完了日(=TE)は
15.84日となります。
最遅着手日(TL)を求めてみましょう。クリティカルパスでの最長納期32.17
日が基準になります。
イベント4を逆算してみましょう。bのクリティカルパスではイベント6の
32.17日から作業G(作業期間:10.33日)と作業E(作業期間
:6.00日)を差し引きますので、15.84日になります。
これを最遅着手日(=TL)といいます。クリティカルパスではTEとTLは同じ
になります。
Cの経路を同様に逆算しますと、TLは23.67日となります。クリティカル
パスのTL=15.84日と比較しますと7.83日の差が出ます。これをスラ
ック(=余裕)といいます。
Cの経路の作業Fは最も早く開始できるのは15.84日目に出来ますし、遅くても
23.67日目に開始すれば納期32.17に間に合うことを意味しています。
このことは、Fの作業工数をイベント4以前の作業に移行しますと、納期が短縮で
きることを意味しています。
第71回はここで終了します。“クリティカル パスの求め方と改善”を取り上げま
した。
次回は、プロジェクト予算計画、予算と納期管理を同時に実施する手法である「EV
MS」を取り上げます。


